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2014
08.02

第84項:火葬場常駐案内嬢②

Category: 警備員   Tags:火葬場案内遺族
本日も、どうぞ宜しくお願い致します。


管制の言われるがままに、火葬場の常駐案内嬢として派遣される事になった。

気乗りはしなかったけど、どういう世界なのか興味があったので引き受けた。
行ってみたら、予想通りの雰囲気ではあった。
しめやか・・・気、という見えないエネルギーが沈んでいる感じ。

亡くなった方を火葬する場所なのだから、活気があって明るい雰囲気な訳が無い。

でも、施設の職員さんは皆親切で、至らない部分はサポートをしてくれる。
待機という名の休憩時間は、
お茶とお茶菓子を手に他愛無い会話を交わし、和やかに過ごせた。
私だけが外部の者なのに、分け隔てなく接してくれた職員の方々。感謝であります。

「そんな難しい仕事じゃないから、大丈夫よ」

引継ぎをされ、初の案内を控えて緊張している私に職員さんが声をかけてくれた。
履き慣れないパンプスで歩くのもぎこちない。
安全靴に警備の制服を着ての大股で歩く癖が、スカートだと裾がひきつれる。
身のこなしから意識しなければならなかった。
「(歩きにくい・・・・)」

そして相手にする人々は、悲しみに暮れる亡くなった方の親族が主であります。
どう接して良いのかわからない。
笑顔で説明することはやめた方がいいのはわかっていても、
私まで暗くなる必要も無いだろうし・・・。あれこれ考えている内に、職員さんから声がかかった。

「アカツキさーん、ご案内お願いねーーー」

「ハイ!!」椅子をひっくり返す勢いで立ち上がった。
緊張で喉がカラカラだった。

釜のある場所へ小走りしていくと、業者のおじ様が既に御遺族をその場へ案内していた。
「(セリフを間違えないように・・・・間違えないように・・・)」
最初のうちは、セリフを書いたメモを見ながらでも構わないと言われてはいたものの、
緊張して噛まないようにしなければ・・・ガチガチでありました。

「ご遺体との最後のお別れで御座います。・・・・・・・」
業者が御遺族へ最後の対面を促す。
そして横にいる私に肘で小突いて、「この後の案内をするんだよ」と小声で言われた。

最後の対面を終え、釜の中へ入っていく御遺体。
シクシクとすすり泣く声、鼻をすする音が聞こえてきた。
ガチャン、と職員の手によって釜の戸が閉められた。
すかさずタイマーのような計量器のつまみをグルッと回した。

不謹慎ですが・・・
まるでオーブンのような感じがして、何でも効率を追い求めがちなこの世の風潮が、
人情的な何かを押し潰しているように見えて、心無い冷たい印象に映った。

「ホラッ・・・出番出番」業者と並んで端に立っていた私の案内のタイミングがきた。

「・・・・火葬が終了するまで、・・・s暫くのお時間が御座います。
・・・奥の休憩所にお茶のご用意がして御座います。sそちらまでご案内させて頂きます・・・どうぞこちらへ・・」

話し始めた途端に、全員の視線が集中してプレッシャーが圧し掛かったけども、初回の案内は何とかできた。

詰め所に戻って、職員のおば様がにこやかに言った。
「上手じゃない、良かったわよ

「・・・有り難う御座います・・・」大勢に注目されるのは苦手であります。
おぼつかないながらも、何とかこなせてホッとしている所に業者のおじ様が詰め所に入って来た。

「君が新しい案内の子?」

・・・・さっきまで一緒に釜の前にいたのに。

続きます。
ここまでお読み下さいまして、有り難う御座いました。
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